立冬を迎え、暦の上ではすでに冬に入った11月。今年は早々に木枯らし1号が吹き、11月も中旬を過ぎると、実感としても冷たい風が肌にしみる毎日です。言いかえれば、心に触れる歌のあたたかさが感じられる季節でもあります。
今回は“秋から冬への”歌声喫茶です。おなじみの愛唱歌・流行歌をとおして、秋の終わりから冬のはじまりの雰囲気を楽しみましょうという思いで選曲いたしました。
肩回し、ギューストンの準備体操は寒くなってくるこの時期にはますます大切です。チャコのピアノのBGMに身をゆだね、寒さで縮こまりがちな体をゆっくりとほぐしていきましょう。
続いて発声練習です。低い声から高い声まで、実際の歌の中では出てこない範囲の声域までをここで意識しておくことで、このあと力まずに歌い始めることができると思います。
さあ、いよいよ秋から冬への歌声喫茶の開演です。
1曲目は文部省唱歌「もみじ」。寒い地域ではすでに葉が落ちている時期ですが、東京はちょうど紅葉の見頃。歌いなれたメロディーをたどりながら「赤や黄色の色様々」なイメージに包まれていきます。
続いては「美しい十代」。「高校三年生」と並び青春歌謡を代表するこの曲には、十代の初々しさや美しさはもちろんのこと、青春特有の心の翳りや焦りのようなものも曲調から感じとれ、歌いながら気持ちが高まっていきます。序盤から会場の一体感が一気に高まりました。
「小さな木の実」は毎年秋が来るたびに味わいたい1曲です。父と少年の時を超えた心の交流が描かれる歌詞は、味わえば味わうほどに奥深さが感じられます。
そして「秋桜(コスモス)」は今度は嫁ぐ娘と見送る母の物語。庭と縁側のある昔ながらの家の風景に趣を感じつつ、歌の抑揚に身をゆだねます。
紅葉の季節に欠かせない歌といえば、文部省唱歌「もみじ」や童謡「まっかな秋」などがありますが、フランク永井さんの「公園の手品師」もそのひとつ。イチョウが舞い落ちる様をおしゃれで詩的に描いた歌で、派手な曲ではありませんが、チャコ&チコの歌声喫茶でも秋の人気愛唱歌となっています。
「恋人よ」と「風」は冬のはじまりを感じる曲です。どちらの歌にも描かれている「枯れ葉」。実際にはまだまだこれからが寒さの本番なわけですが、枯れ葉は「恋人よ」の歌詞にあるように「来る日の寒さ」を予感させます。この予感とともに冬がはじまるのですね。
後半のハイライトは「星のフラメンコ」。この曲では、歌のあい間の手拍子がポイントです。多少タイミングがずれたりするのはご愛嬌。とにかく「タン、タン、タン!」と思い切って手を叩いてみると、なんだか血行もよくなったようで(笑)気持ちが良いのです。
最後は「旅愁」をゆったりたっぷりと味わって“秋から冬への”歌声喫茶は幕を閉じました。
次回の開催は12月。クリスマスソングを交えた今年最後の歌声喫茶です(※会場予約で満席となっておりますため、現在はキャンセル待ちの受付となります → ご案内はこちら)。
最後にお知らせです。今回の開催では現在放送中の『NHKラジオ深夜便』の月1コーナー『夜ばなし歌声喫茶』に取材協力し、お客様の歌声(合唱)の収録が行われました。
この番組は歌手/芸人のタブレット純さんが案内役となり、歌声喫茶で愛唱されてきた名曲の魅力に迫るという興味深い内容です。テーマとなる1曲についての考察はもちろん、リスナーが一緒に口ずさんで楽しめるコーナーや、実際の歌声喫茶の合唱の空気感も伝えてくれます。
『ラジオ深夜便・夜ばなし歌声喫茶』(NHKラジオ第1)
放送予定は、12月17日(火)、1月21日(火)午後11時台です。ぜひお聴きください!