歌は、人と人を結び、時代を越えて受け継がれていく。
13年以上歌声喫茶を続ける中で、私たちチャコ&チコはそのことを何度も実感してきました。
杉並区西荻窪でチャコ&チコの歌声喫茶がスタートしたのは2013年7月のこと。当時、「歌声喫茶」なるものは、私たちにとってほとんど未知の文化でした。
1970年代生まれのチコ(ギター)にとって、歌声喫茶の愛唱歌は自身の青春ソングではありません。けれどもそのこと自体は、もともと1950〜60年代の洋楽に親しんできたチコにとって特別ではなく、むしろだからこそ、純粋に音楽的な興味の対象として明治から昭和の日本の音楽史をたどり、レパートリーを増やしていけたのかもしれません。新鮮な驚きといえば、お客様から聞かせていただく歌にまつわる思い出が、その曲をより深く理解するよすがとなり、曲の背後にある文化や歴史を知れば知るほど、今度は反対に、お客様が過ごした時代への想像力へとつながっていったことです。
チャコ(ピアノ/司会)もまた、1980年代から音楽を生業としながらも、歌声喫茶とは無縁の道を歩んできました。人ごみが苦手で、仮にどこかで歌声喫茶に出会っていたとしても、おそらく参加することはなかったでしょう。そんなチャコが歌声喫茶の司会と伴奏をすることになり、そこで触れたのが、育った時代も土地もまちまちの他人同士が、ひとつの歌を通して、それぞれの人生を少しだけ重ね合わせた、絶妙の、一期一会のハーモニー。それは、みんなで合わせようという思いすらないままに、ただただ自然に発せられた人生讃歌の美しさでした。
歌声喫茶は、懐かしい歌を歌う場所であると同時に、人と人が出会い、それぞれの人生や過ごしてきた時代を分かち合う場所でもあります。そしてまた、お客様の思い出とともに、先人たちが残した素晴らしい歌を次の世代へ手渡していく場所でもあると、私たちは考えています。
チャコ&チコは、歌が結ぶ人と人との心のつながりを大切にしながら、これからも皆さまと新しい歌声の時間を紡いでいきたいと願っています。

