就職で都会へ出た男性と地元に残る女性。離れ離れになった二人の心模様が交互に描かれる歌詞の形式がユニークです。かろやかな曲調は耳に心地よく、それがかえって歌詞の切なさを際立たせているようです。
月日とともにうつろう想い、あるいはかわらない想い。いっけん対照的で、どちらかを擁護しどちらかを責めたくもなるものですが、その奥底にある苦悩に思いをめぐらせてみると、私たちはこの男女どちらの心をも持ちあわせているのではないかということに気づき、いっそうの切なさをおぼえます。
昭和49年(1974)に「雨だれ」でデビューした太田裕美さんは、当時のいわゆる“アイドル歌手”とは少し異なり、当時の音楽業界で使われはじめた《ニュー・ミュージック》と呼ばれる若者の音楽指向を意識した形で売り出されました。
ニュー・ミュージックとは、ごくおおまかに言えば、日本のフォークや一部のロックミュージックの総称で、これまでのレコード会社主導で作られた歌謡曲の枠に収まらないシンガーソングライターやグループを指します。太田裕美さんは、一方ではアイドル歌手としてテレビで活躍し、一方ではニュー・ミュージック系のミュージシャンとともにコンサート出演するなど、歌謡曲とニュー・ミュージックの架け橋的な存在として活躍しました。
蛇足ですが、11月3日は「ハンカチーフの日」。日本ハンカチーフ連合会が昭和58年に制定しました。マリー・アントワネットが「国内のハンカチはすべて正方形にすべし」という布告を夫の国王ルイ16世に出させたことから、彼女の誕生日11月2日に近い祝日を記念日としたということです。
なぜ正方形に限定したのか。マリー・アントワネットは、国民のハンカチを正方形に統一することで、自分だけはさまざまな形のハンカチを持って特別感を高めたかったのだとか。支配者の思考とはこういうものなのか知らん。
【参考文献】
宮川泰『サウンド解剖学』(中央公論社)
富沢一誠『ザ・ニューミュージック』(潮出版社)
※国立国会図書館デジタルコレクション
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