「虹と雪のバラード」を作詞した詩人で整形外科医の河邨文一郎氏は、冬のオリンピックが夏のオリンピックやその他の各種スポーツ大会と決定的に異なることとして、競技の背景に常に雪と氷があることを挙げています。
「国を問わず、北国・雪国に暮らす人々が無意識的にせよ持っている、その氷雪の風土を共にするもの同士の連帯感というものが、観衆やテレビの視聴者に伝わり、冬季オリンピックならではの雰囲気が作り出されていく」という感覚は、小樽出身で雪国に育ち、学び、暮らした河邨氏ならではの貴重な視点です。
NHKから札幌オリンピックテーマソングの作詞の依頼を受けた河邨氏は、こうした北方圏、北国の住民の連帯感と、それが虹がかかるようにはるかな国々をつなぐ様を、誰もが歌える庶民の歌として描こうという思いを、「虹と雪のバラード」に込めたといいます。
【参考文献】
河邨文一郎『人間の星座:エッセイ集』(北海道新聞社)
※国立国会図書館デジタルコレクション