昭和6年(1931年)、奈良県に創業したテイチクレコードは、昭和9年に株式会社としての創立を果たすとともに、作曲家・古賀政男氏を招き入れ、また、東京杉並区堀之内に東京吹込所を建設。このスタジオからディック・ミネ、美ち奴、藤山一郎ら数々の名曲が生み出されました。
昭和36年(1961)年に建て替えられた新しい杉並スタジオで吹き込まれた翌昭和37年発売の「赤いハンカチ」は、あまりの売れ行きに東京の営業所がパンク状態となるほどの、テイチクの歴史に残る大ヒットとなりました。昭和39年公開の同名映画も、石原裕次郎さん・浅丘ルリ子さんのコンビによる日活ムードアクションの傑作として日本映画史に刻まれています。
ところで歌詞にアカシアの花が登場する歌といえば「アカシアの雨がやむとき」「この道」「星影の小径」などとならんで、この「赤いハンカチ」があげられます。石原裕次郎さんの歌でいえば、昭和47年発表の「恋の町札幌」にもアカシアが描かれています。
これらの歌のアカシアが、正式には「ニセアカシア(和名:ハリエンジュ)」であることは「アカシアの雨がやむとき」の頁に記載の通りです。
ちなみに、表記および発音として正しいのは「アカシア」なのか「アカシヤ」なのかについて歌声日記でふれていますが、一般的な表記においてはどちらでもよく、一方が正しくてもう一方があやまり、ということはないようです。
外来語の表記・発音については、上記の「アかヤか」のほか、長音「ー」撥音「ッ」を入れるかどうかなどの問題が常にあり、時代とともに常にアップデートされつつ混在しています。
タイトルに「アカシア(ヤ)」が入っている歌(発表年順)
1948 「アカシヤの花」 岡本敦郎
1950 「白きアカシアの花」(宝塚レビュー『リリオム』主題歌) 須波千尋
1960 「アカシアの雨がやむとき」 西田佐知子
1961 「アカシヤの花に雨が降る」 和田弘とマヒナスターズ・多摩幸子
1962 「アカシヤが好き」 高石かつ枝
1972 「アカシヤの花咲く北国の街」真樹エリ子
1975 「アカシヤの面影」 江本孟紀
1975 「アカシアの夢」 テレサ・テン
1987 「想い出はアカシア」 石原裕次郎
【参考】
文化庁HP・文化審議会国語分科会『外来語の表記』
放送用語委員会『外来語の発音・表記について』
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