懐かしい歌をギター生伴奏で

春にかかせない愛唱歌です。

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明治33年(1900年)
作詞:武島羽衣
作曲:瀧廉太郎

春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしずくも 花と散る
ながめをなにに たとうべき

見ずやあけぼの 露あびて
われにもの言う 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を

錦おりなす 長堤に
暮るればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめをなにに たとうべき

 

荒城の月」「箱根八里」と並び、瀧廉太郎の作品の中でも広く親しまれている歌曲です。東京都墨田区では「区民の愛唱歌」に指定されています。

描かれているのは隅田川での漕艇(レガッタ=ボートレース)の様子。

日本のボート史は1860年頃に長崎や横浜の英国商人や水兵たちがレガッタを開催したことに始まるようです。明治8年(1875)に英国人指導者F.W.ストレンジ氏が来日し学生へ指導をはじめ、このころからいくつかの大学で学生が漕艇を始めるようになります。明治16年(1883)には現在の東京大学と筑波大学が隅田川で対校レガッタを初めて開催しています。

ちなみに第三高等学校(現・京都大学)ボート部の琵琶湖周航が開催されたのは明治26年(1893)。第三高等学校の小口太郎氏が「琵琶湖周航の歌」を作ったのは大正6年(1917)のことです。

春の日のうららにさして行く舟は 棹のしづくも花ぞちりける

これは『源氏物語』「胡蝶」の巻にある歌です。春のうららかな日射しのもと行く舟の、棹のしずくはまるで花が散っているようだ、という意味です。作詞者・武島羽衣は、当時隅田川で盛んになっていた漕艇の風景を、源氏物語のこの歌を踏まえつつ描いたわけです。


投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2021/03/22(月)