懐かしい歌をギター生伴奏で

今日では新しい歌詞の「むすんでひらいて」として愛唱されています。

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見渡せば

 
1881年(明治14年)唱歌
作詞:柴田清煕、稲垣千頴
作曲:ジャン=ジャック・ルソー

見渡せば青柳
花桜こきまぜて
都には道もせに
春の錦をぞ
佐保姫の織りなして
降る雨に染めにける

見渡せば山辺には
尾上にもふもとにも
薄き濃きもみじ葉の
秋の錦をぞ
竜田姫織りかけて
つゆ霜にさらしける

 

1881年(明治14年)、文部省音楽取調掛の編集による最初の唱歌教材集『小学唱歌集・初編』に収められた全33曲の内の1曲です。原曲はフランスの思想家ジャン=ジャック・ルソーの作曲したメロディーだといわれます。

『小学唱歌集』は文部省音楽取調掛の編集による最初の唱歌教材集で、「蝶々」や「蛍の光」なども収められてます。当時は、始まったばかりの唱歌教育のほとんど唯一の教材だったため、小学校以外に、師範学校や中学校、女学校など全国の学校で使用されました。日本全国に西洋音楽のリズムとメロディーが広まっていった大きな流れのひとつが、この明治14年の『小学唱歌集』だったわけです。

明治33年に発表された唱歌「」の作詞者である旗野十一郎(タリヒコ、トリヒコ、シロウとも)氏が『小学唱歌集』の全曲について詳細な解説を施した『小学唱歌集評釈』(明治39年)によれば、唱歌「見渡せば」の一番の歌詞は「古今集『見はたせば柳櫻をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける』の翻案」。

1947年(昭和22年)、戦後最初の音楽の教科書「一ねんせいのおんがく」では「むすんでひらいて」という新しい歌詞で掲載され、子供の歌として今日まで愛唱されています。

【参考文献】
旗士良 編『小学唱歌集評釈』(同文館)

国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/855326

堀内敬三・井上武士 編『日本唱歌集』(岩波書店)
金田一春彦・安西愛子 編『日本の唱歌(上)明治篇』(講談社)
中村雪武・著『詩人吉丸一昌のミクロコスモス』(コールサック社)


投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2025/04/22(火)