懐かしい歌をギター生伴奏で

津村謙さんと吉岡妙子さん、美声の歌手二人によるデュエット曲

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あなたと共に

 
1954年(昭和29年)津村謙・吉岡妙子
作詞:矢野亮
作曲:吉田矢健治

あなたと共に ゆきましょう
恋の甘さと 切なさを
はじめて 教えてくれた人
それが私のさだめなら
あなたと共に ゆきましょう

あなたと共に 泣きましょう
つらい浮世の 波風に
やぶれた翼の はぐれ鳥
それが女の弱さなら
あなたと共に 泣きましょう

あなたと共に 呼びましょう
胸にともった このあかり
消さずにかばって 抱きしめて
それが本当の のぞみなら
あなたと共に 呼びましょう

 

“ビロードの歌声”の異名をもつ津村謙さんと、やはり耳に心地よい美声で戦後の歌謡界を彩った吉岡妙子さんによるデュエット曲です。同名の恋愛映画(主演:岸惠子・佐田啓二)の主題歌として大ヒットしました。

吉岡妙子さんは戦後にビクターからデビュー。感傷的な“泣き”の歌からラテン風、シャンソン風の曲まで幅広くこなす美声は耳に心地よく、東辰三氏、吉田正氏、佐伯孝夫氏、井田誠一氏ら当時の第一線の作詞・作曲家の作品を吹き込んでいることからも、大きな期待を受けていたことがうかがえます。

ちなみに吉岡妙子さん歌唱で昭和26年に発売された「東京の星空」(作詞:佐伯孝夫/作曲:吉田正)を聴くと、後の昭和30年代に一世を風靡することになる都会派吉田メロディー(例えば「有楽町で逢いましょう」「東京の人」など)のフォーマットが、この頃すでにできあがっていたことがわかります。

その後キングレコードに移籍、「あなたと共に」が大ヒットしたわけですが、キングでも一流作家の楽曲を多く発表しています。同じ吉田矢・矢野コンビニよるラジオ歌謡「南のセレナード」や紅白歌合戦出場曲「私の幸福は何処へ」のほか、服部良一氏が「五木の子守唄」をラテンアレンジした「五ツ木ルンバ」など洒落の効いた作品もあります。

また、高野公男作詞・船村徹作曲の「ブルースを唄う女」という曲があるようです。高野・船村コンビとしては「別れの一本杉」発表後の売り出し中だった時期だと思われます。これは未聴なのですが、聴けるものならぜひとも聴いてみたい1曲です。


投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2023/03/29(水)