懐かしい歌をギター生伴奏で

「水の蘇州の〜」の歌詞のとおり、「東洋のヴェネチア」ともよばれる水郷風景

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蘇州夜曲

 
1940年(昭和15年)李香蘭(山口淑子)、渡辺はま子
作詞:西條八十
作曲:服部良一

君がみ胸に 抱かれて聞くは
夢の船唄 鳥の歌
水の蘇州の 花散る春を
惜しむか 柳が すすり泣く

花をうかべて 流れる水の
明日のゆくえは 知らねども
こよい映した ふたりの姿
消えてくれるな いつまでも

髪に飾ろか くちづけしよか
君が手折りし 桃の花
涙ぐむよな おぼろの月に
鐘が鳴ります 寒山寺

 

李香蘭(山口淑子)主演の映画「支那の夜」の劇中歌として発表されました。

蘇州は長江の南側、上海に隣接する都市。古くから水運の町として栄え「東洋のヴェニス」とも呼ばれてます。歌詞の最後に登場する寒山寺は臨済宗の仏教寺院。毎年大晦日に除夜の鐘が鳴らされ、その鐘の音をきくと10歳若返るといわれます。

映画『支那の夜』は流行歌「支那の夜」(歌:渡辺はま子 作詞:西條八十 作曲:竹岡信幸)のヒットを受けて作られました。長谷川一夫と李香蘭という東宝/満映の看板スターの共演によるいわゆる“大陸三部作”の第2作目となります。劇中では「支那の夜」「蘇州夜曲」をヒロインの李香蘭が歌っています。

中国的な音階や中国の伝統楽器二胡を思わせる流麗な旋律の中に、日本の大衆歌謡としての歌心と抒情性が溢れています。ジャズ、ブルース、タンゴなど当時最先端だった外国音楽を取り込み、和製ポップスの礎を築いた服部メロディーの神髄がたっぷりと感じられる一曲です。

服部良一氏は日中戦争中の昭和13年、芸術慰問団の一員として蘇州を含む中国各地を訪れています。ただし「蘇州夜曲」のメロディーの直接的なイメージは実は蘇州ではなく、蘇州から150kmほどの都市・杭州にある西湖(せいこ)での感慨がもとになっているのだそう。杭州は中国八大古都(洛陽、鄭州、安陽、西安、開封、南京、北京)のひとつ。江南運河の終着点として隋の時代から経済・文化の中心地として栄えた、こちらもやはり「水の都」です。

【参考文献】
ぼくの音楽人生』服部良一・著(日本文芸社)

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投稿者:チャコ&チコの歌声喫茶
記事公開日:2019/02/28(木)