望郷の想いを哀愁に満ちた旋律にのせて綴る、古賀メロディーの傑作です。
作曲家・古賀政男が幼少期の思い出を作詞の西條八十に伝え、それをもとにこの詩ができたということですが、八十自身も嫁ぐ姉との別れという喪失感を16歳の時に体験しており、二番の歌詞は、作詞家・作曲家それぞれの想いが強く反映されているものだと言えます。このほか八十は「十六歳の春」という詩にも次のような言葉を綴っています。
姉君の嫁ぎたまひて、
けふさみし春の青空、
涙してひとり仰げば
凧(いかのぼり)ただひるがへる。
【参考文献】
筒井清忠・著『西條八十』(中央公論社)